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2013/03/25

アコーディオン雑記 その2

●日本のアコーディオン教育は私塾状態

 アコーディオンの本場、イタリアやドイツだと、アコーディオンは音楽大学の学科になっている。そこには当然音楽大学の教授が居るわけで、アカデミズムの枠内で、あまりにも常軌を逸した妙な教育は行われていない。
 ところが、日本の音楽大学にはアコーディオン科が無い。

 自然、突出した才能のあるアコーディオン奏者、COBAさんとか、かとうかなこさんとか、御喜美江(みき みえ)さんなど、海外で修行してきている。御喜美江さんに至っては、ドイツに定住して当地の音楽大学で教えていて、たまにしか日本に帰ってこない。

 今後はどうなるか、分からないけれど、とりあえず現状のアコーディオン教育は、ほとんどが私塾の教室か、それに毛の生えたようなもの。

 大学のオランダ語学科ではなくて、蘭学の私塾が乱立しているようなものなので、中には首を傾げたくなるような教室もある。
 シロウト目にも、どう見ても下手な演奏をしている方が、なぜか講師を自称して私塾を開いていたり。経歴を見ると、30歳を過ぎてからアコーディオンをはじめてまだ5年目とか。これはちょっと、例えば他の楽器、ピアノなどでは、考えられないのではないかと思う。


●アコーディオンは斜陽産業

 プロ、アマ問わず日本でアコーディオン奏者が少ないのは言うに及ばずですが、世界的にも演奏者は少なく、アコーディオンという楽器自体、斜陽産業と言えるようです。

 アコーディオンが最も生産されていた時代は、60年前後。生産のメッカはイタリアとドイツで、アメリカなどには盛んに輸出され、ケイジャン音楽を発展させたりしたそうです。

 しかし70年代からは生産数が激減、跡を継ぐ職人も少なくなり、新機軸のアコーディオンもほとんど見られなくなります。職人が居なくなってしまって、工場を畳むことになったり、利益が出ないので身売りしたりするメーカーが続出。
 アコーディオンの要となるリード(金属の振動板)の質も低下してしまい、それがヴィンテージもののアコーディオンが未だに高値で取引されている一因になっているようです。中古品が価値あるものとして出まわっていれば、更に新品が売れなくなる、という悪循環もあったのではないかと思ったりします。

 例えば、ドイツのホーナー、日本のトンボ楽器など、本国工場は畳んでしまい、一部高級機種を除き、中国の工場で作ったアコーディオンを販売しています。中国製品ということで、妙な偏見は持ちたくないですが、それを差し引いても明らかに音の質は悪くなっていて、特にリードについては良くないことが知られているにも関わらず、いまだに改善されていません。
 (※ホーナーは、アコーディオン部門を中国企業に身売りした、という話もあるようです。)

 実は、アコーディオンを始めた当初は、アコーディオンという楽器は日本ではマイナーだけれど、海外では演奏者もたくさん居るし、直輸入か何かで安く手に入るのではないかと思っていました。
 でも、新品に関しては、なにせ数が出ない楽器ですから、海外でもそれほど値段は変わりません。また、ネットで見る限り中古に関しては海外が圧倒的に安いようですが、最悪音が出ないシロモノかもしれず、さすがに海外から安い中古を買う勇気はありませんでした。

 現在、質の良いアコーディオンを作り続けているのは、イタリアのカステルフィダルドにあるメーカー群だそうです。メーカーといっても、昔ながらの手工業的に細々と生産を続けているようで、職人は簡単には自分の技を人には明かさないそうで、それも昔ながらのようです。

 アコーディオンが斜陽になってきた年代と、その時代の音楽をちょっと考えると、、、やっぱりギターという楽器の大きな波、特にビートルズかなぁ、なんて思ったりします。


※MIXI日記から転載

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